賃貸のことならホームメイトの全国不動産ネットワーク

マーケティングリサーチに関するお役立ち情報をご覧頂けます。



お役立ち

「マーケティングリサーチ」とは

「マーケティングリサーチ」とは

企業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、近年ますます重要視されてきているのが、顧客満足度の向上や売上増につながるマーケティング。「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」のことを指しています。

この活動のひとつの手段として行なわれるマーケティングリサーチ(市場調査)で、消費者が真に求める商品やサービスを的確につかむことができれば、企業の製品開発や営業活動にプラスとなるのはもちろん、消費者にとっても有益となるはずです。

多岐にわたる具体的な調査方法や分析の手法を詳しく知っておけば、マーケティングリサーチをより効果的なものとして活用することができます。

マーケティングリサーチの目的や意義

マーケティングリサーチの目的や意義

マーケティングリサーチの目的は、成功確率の増大よりも失敗確率を下げるマーケティングリスクの低減にあります。企業や公共機関が、消費者が本当に望んでいるもの、本当に魅力を感じるものを作るために情報を集め、科学的に分析し、商品やサービスの提供に反映させていくのがマーケティングリサーチ(市場調査)です。顧客とその意向を正しく知ることで様々な経営資源を効率的に運用することにつながります。

新製品を開発する場合や既存製品の新たな販売促進を行なう際には、消費者や顧客が求めている製品の特性を明らかにするだけでは十分ではありません。その製品を確実に届けるために、適正と思われる価格を設定する、より効率的な流通経路を選択する、さらにその製品の認知度を上げるために戦略を練り効果的な宣伝を行なうなど、クリアすべき課題は数多く存在します。そうした課題を克服するためには、消費者からの情報が非常に役立ちます。この新しい製品の値段は内容に見合った適当なものか、多くの人にとって使いやすいものとなっているか、あるいはもっと単純に好きか嫌いかなど、消費者の率直な感想や意見を幅広く確実に入手することで、失敗の可能性を少しでも軽減することができます。

一方、消費者にとってもマーケティングリサーチは良い効果をもたらします。商品・サービスの享受者である顧客(消費者など)側から見れば、マーケティングリサーチが行なわれることで、自らの望む商品・サービスを利用することができるようになり、欲しくない・必要でない商品などの開発による無駄なコストが価格に転嫁されることを防ぐというメリットがあります。

企業と消費者間のモノと情報の流れ

企業と消費者間のモノと情報の流れ

ここでは、製品を消費者に届けるまでの流れを確認してみます。マーケティング活動の中には、まず、企業から消費者に向けたひとつの流れがあります。製品を消費者に届けるまでには、大きくは商社、卸問屋、小売店といった長い販売経路があります。この長いチャネルを軽視して、商社に製品を納品した段階で仕事は終わりと考えてしまっては、実際に消費者がその製品を買ってくれているのかどうかが分かりません。

こうした製品の消費者への流れとは逆に、消費者の情報を取り込む流れがマーケティングリサーチの仕事です。実際にエンドユーザーである消費者のところに行って、その製品が本当は売れているのか、売れていないのか、売れているのであればその製品からどんな印象を受けたのか、その製品のどんなところが気に入ったのか、気に入らないのかなどの情報を手に入れて、その情報をフィードバックすることが必要です。

マーケティングリサーチは、このように顧客から企業へと情報が流れる活動のひとつです。この他に顧客から企業への情報の流れとして、大手企業などで多く設けられている「お客様相談センター」といったものがあります。これは顧客側から企業へとアプローチされるのに対して、マーケティングリサーチでは、企業の側から顧客へアプローチし、顧客側の情報を得るという違いがあります。この特徴により、自分から進んで意見や文句を言うことはないが、商品を買う・買わないなどの行動で表すような多くの顧客の考えを集めて、商品やサービスに活かすことができます。

マーケティングリサーチの領域

様々なマーケティング領域において多様な分析データを提供し、企業の意思決定をサポートするツールとして活用されているマーケティングリサーチ。その領域として、次のようなものが挙げられます。

  • 製品開発

    利用実態調査、ブランドイメージ調査、消費者行動分析、ライフスタイル分析、市場細分化分析、アイデア開発、製品ベネフィット調査、製品コンセプトテスト、製品テスト、パッケージテスト、ネーミングテスト、価格受容性調査、顧客満足度調査、新製品追跡調査、他

  • 流通戦略

    流通経路調査、流通受容性調査、小売店調査、販売店パネル調査、他

  • 広告戦略・販売促進

    広告コピーテスト、広告コンセプトテスト、広告テスト、広告効果測定、販促効果測定、広告媒体調査、他

  • 営業活動

    需要予測、販売予測、他

  • 情報システム&流通システム
  • 経営・マーケティング戦略

    市場分析、社会動向分析、業績分析、競合分析、他

お役立ち

世界のマーケティングの歴史

世界のマーケティングの歴史

マーケティングリサーチについて詳しく知る前に、マーケティングがどのようにして生まれ、発展してきたのかという歴史を振り返り、確認してみましょう。

マーケティングの語源

世界のマーケティングの歴史

18世紀から19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命。工場制機械工業の導入と、それに伴う社会構造の変革により大量生産の技術を手にしたイギリスは、商品を大量生産し、販売します。国内での販売はもちろん、植民地でも大量に売りさばきました。世界各地に植民地を持つイギリスにとって、大量生産と販売は難しいことではありませんでした。

これに対して、海外に植民地を持たないアメリカでは事情が異なります。大量生産した商品を国内で販売するため、いかにして需要の創造を図るかを常に考えなければなりません。経営を圧迫する不良在庫を抱えないように、効果的な販売方法を工夫していきます。

19世紀末、台頭しつつある製造業者に雇われたマーケター達は、新製品を直接小売業者に販売する必要に迫られます。初期から事業展開している消費財ブランド、P&G、コカコーラ等は大都市郊外にある商店を回らせるマーケターを採用。雇われたマーケターは、当時は奥地と見られていた地域で販売を試みる過程で多くの問題に直面します。郊外の販売店は、少ない利益しか見込めず閉鎖的な中西部の消費者にとって不確かなブランドイメージを擁する、大手消費者のブランドや方針を採用することに消極的でした。また中西部への交通網も依然未発達で、オハイオ州や以西の分散された市場への進出を妨げます。潜在的な顧客を独自に開拓して回るというマーケター達の任務遂行には、開拓者精神を上回るものが求められました。

このような状況に置いて、既存の「sell(売る)」や「trade(貿易)」といった言葉では言い表せず、新しい言葉が必要とされました。そこで生まれたのが「market(市場)」に「ing」を付けた「marketing」という新しい言葉です。

マーケティングの変遷

マーケティングの変遷

19世紀末に生まれた「マーケティング」という言葉は、20世紀の初めになって社会的に認知され始めます。マーケティングの起源には諸説ありますが、1902年(明治35年)ミシガン大学の講義に「マーケティング」が登場したことが始まりと言われています。また、その数年後1905年(明治38年)にはフィラデルフィアのペンシルバニア大学にマーケティング講座が登場しました。

アメリカ・マーケティング協会によれば、マーケティングが初めて定義されたのは、1935年、アメリカ・マーケティング協会(AMA)の前身のひとつ、全国マーケティング教師協会によると言われています。その後、1948年(昭和23年)、1960年(昭和35年)、1985年(昭和60年)と新しい定義が発表され、最近では2004年(平成16年)に「マーケティングとは、組織とステークホルダーにとって有益になるように、価値を創造・伝達し、提供し、顧客との関係をマネージメントするために行なわれる組織的な活動とその一連の過程である」と定義づけられています。このようにマーケティングの定義は不変でなく、時代環境の影響を受けながら移り変わっています。

時代によって変わるマーケティングの主役

1900年(明治33年)当時のアメリカは、自動車の普及前夜。1908年(明治41年)に発売されたフォード・モデルTは、当時としては画期的だった流れ作業による大量生産方式を実現し、価格の大幅な引き下げに成功しました。併せてチャネル・プロモーションなどのマーケティングを実施することにより、単一モデルとしては驚異的な1,500万台以上の生産を達成するという、空前の大ヒットを記録。フォード・Tモデルは、正に当時最先端のマーケティング戦略を駆使することによって、作れば売れるという状況を生み出すことに成功しました。

このように近代マーケティング理論は、製品やサービスを提供しさえすれば売れるという生産者主体のマーケティングからスタートしました。

大量生産が続き、次第に供給が需要を上回るようになると、消費者の製品に対する認知度や知識も高まり、大量生産された製品を大量に販売する量販店が求められるようになりました。主要な業界ごとに、大量仕入れ、大量販売の小売チェーンが誕生して一世を風靡します。販売者が価格決定権を握るようになったことで、生産者のマーケティングでは販売者対策が重要な要素となりました。販売者によるマーケティングでは、折り込みチラシを大量に配布するなど、価格中心のプロモーションが主流となっていきます。

さらに時代を経て、供給が需要を上回る状況が長く続き、モノがあふれる生活が続くと、消費者は単に価格が安いだけではなく、本当に価値があると認めたものだけを買うようになります。このような時代になると、生産者と販売者が協力して、消費者が真に求めるものを開発・販売することが必要とされます。販売者はPOSデータを分析して、消費者が何を購入しているかを見極め、それをもとにして次に求められる製品を生産者と協力して開発するというマーケティング手法が主流となってきたのです。このように現代のマーケティングでは、消費者が主役者となっています。

お役立ち

日本のマーケティングの歴史

アメリカから戦後日本に伝わったと言われるマーケティング。日本での発達の過程とそれに貢献した報道機関の動きを見ていきます。また、それ以前に認められるマーケティングの源流についてもご紹介します。

日本のマーケティングの歴史

日本のマーケティングの歴史

日本で商売を目的とした調査が初めて行なわれたのは、江戸時代だという説があります。昭和の高度成長期と並ぶ程、経済が発展した江戸時代前期。江戸の町は多くの人であふれ、日本橋などの大通りには呉服屋や食べ物屋、小物屋、たばこ屋など多くの店が建ち並びました。同じ業種の店が並び、競い合うことになれば、どのようにして他の店と差別化するかが重要になります。繁盛している店の秘訣を探り、自分の店と比較し、良い点を取り入れようというのは自然な流れで、現在でいう「マーケティングリサーチ」が誕生しても不思議ではありません。

江戸最大の大店、三井越後屋呉服店(現在の「三越」の前身)を営む三井家では、マーケティングの重要さが家訓の中で伝えられています。「商いは的のごとし。手前よく調べるときは、当たらずということなし」(商いは的のようなものである。こちらがよく調べていれば当たらないということはない)と、創設者・三井高利の長男である宗竺は説いています。商売では十分にリサーチを実施することが重要だと書き残しており、これはまさにマーケティングリサーチのことです。

日本におけるマーケティングの発達

日本におけるマーケティングの発達

日本にマーケティングが紹介された時期には諸説ありますが、一般には、戦後、日本生産性本部がアメリカに経済視察団を派遣し、持ち帰ったものとされています。また、それより先に、1916年(大正5年)にアメリカ留学から帰国した神戸高商の内池廉吉が論文にまとめて紹介したのが最初だという説もあります。

マーケティングが大きな注目を集めるようになったのは、やはり戦後のことです。1955年(昭和30年)、日本生産性本部は当時東芝の社長であった石坂泰三氏を団長とした、第一次トップマネージメント視察団をアメリカに派遣。帰国後、石坂氏は「顧客を何よりも大事に考える米国の経営を見ると、日本ではマーケティングが少し遅れているように思われる」と記者会見で報告しました。その後、本格的に定着し始めたのは1965年(昭和40年)頃からと言えます。「マーケッティング」や「マーケッチィング」と呼ばれたり、「市場開拓」「市場活動」などと訳されたりしていたのが、60年代頃からはそのまま「マーケティング」として用いられるようになりました。

世論調査を源流とする調査の歴史

世論調査を源流とする調査の歴史

日本で「調査」が本格的に普及したのは戦後からで、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によってもたらされたと言われています。戦時中、報道機関でさえも統制下にあり、世論を発信することはできませんでした。戦後は言語統制法案が撤廃され、主要な報道機関では世論調査専門のセクションが設けられることで、世論調査が行なわれるようになったのです。

世論調査を主にリードしたのは、新聞社です。中部日本新聞社(現在の中日新聞社)や毎日新聞社は、1945年(昭和20年)10月に編集局内に世論調査室を設けました。同じ年の11月には、朝日新聞社に、翌1946年(昭和21年)1月には西日本新聞社や読売新聞社にも世論調査室ができています。また、50年代に入ると、民間の調査会社も誕生。1954年(昭和29年)には中央調査社が、1957年(昭和32年)には市場調査社が設立されています。60年代になるとテレビが急速に普及し、テレビの媒体評価を表す指標として求められたのが視聴率です。視聴率調査を目的として、1962年(昭和37年)にはビデオリサーチが設立されました。同じ60年代にはマーケティングリサーチを目的とした新会社が相次いで誕生します。

マーケティングリサーチの発達と同期しているのが、コンピュータの発達です。60年代後半から飛躍的に進歩したコンピュータや、調査会社に集まってきた優秀な人材が調査の普及に貢献しました。

マーケティングの普及とマーケティングリサーチの発達

日本経済の発展と呼応するように様々な調査会社が誕生し、その中には調査の領域をマーケティングに特化した会社も出始めます。また、高度経済成長期に入り、大量生産、大量消費の時代を迎えたことで、マーケティングの実行が求められます。そして、消費者のニーズを把握するために多用され始めるのがマーケティングリサーチです。

また、戦後に相次いで誕生した広告会社が積極的にマーケティングに取り組み始めたのが60年代中頃。マーケティング局や専門の別会社を設立して環境を整える他、データ収集や分析、企画や戦略の策定など科学的なアプローチも取り入れるようになりました。世論調査や社会調査を源流として発達してきた日本のマーケティングリサーチは、商学を源とするマーケティングと重なり合い、さらに発展していきます。

前述の通り、時代によって変化していくマーケティング。大量販売の時代が終わり、市場が成熟化すると共に新たな傾向も見られます。マスマーケティングからワンツーワンマーケティング、マスメディアからSNSを取り込んだマーケティングへの転換などが潮流として挙げられています。

お役立ち

マーケティングデータの種類

マーケティングデータの種類

マーケティングリサーチにおいて重要な役割を果たすデータについて説明します。データを収集源によって分類すると、一次データと二次データに分類されます。「一次データ」とは、マーケティング課題を解決する目的で、リサーチャーが直接調査を行なって獲得するデータ。「二次データ」とは、すでに誰かが収集・加工した既存のデータを指します。それぞれのデータの特性はあとで述べることにし、これに先立って、両者に共通するデータの尺度について解説します。

 

データの測定尺度

データの測定尺度

データの測定尺度は、マーケティングリサーチを行なう上で非常に重要です。データがどのような尺度で測定されているかによって、対応可能な分析手法も決まってきます。代表的なデータ尺度は、以下の通りです。

①名義尺度
性別、職業、仕事の種類など
②順序尺度
ブランドの好きな順位、知覚品質(消費者が製品に対して認識する品質のこと)など
③間隔尺度
ブランド評価(非常においしい―おいしい―どちらとも言えない―まずい―大変まずい)、気温など
④比例尺度
ほとんどの計量的変数(販売数量、価格、身長、体重)など

マーケティングリサーチデータ

マーケティングリサーチデータ

先に述べた通り、マーケティングリサーチデータには「一次データ」と「二次データ」があります。このうち、二次データは課題の明確化や問題を定義する際や、公式調査結果を解釈する際に重要な情報を提供してくれます。

マーケティング調査において、二次データの収集・再編集・分析は調査の基本的な第一歩と言えます。いろいろな目的で収集・加工されたものなので、有用性に限界はありますが、そのメリットを活かして調査の効率性・経済性を高める必要があります。

これに対して、一次データは調査者自らが収集するオリジナルデータで、どのような収集法を採用するかという点と深くかかわりがあります。調査によって、得られるデータの形式も変わってきます。質的なデータを取得するための調査法「定性調査」であれば、データは言葉として取得されます。それに対して「定量調査」であれば、量的データとして取得されます。それぞれに利点と欠点があるため、両者を組み合わせた調査も用いられます。

内部データ

二次データのうち、販売記録などは「内部データ」と呼ばれ、次のように分類することができます。

売上高・原価データ
売上高、仕入れ原価、販売費、管理費、利益
社内報告データ
セールスマンの訪問販売実績、マーケティング・ミックス関連データ、新製品に関する特別報告、など
分析データ
各種予測データ、市場動向データ
個人顧客(見込み)記録
顧客名簿(名前と所在)・顧客数、セールスマンの訪問回数、取引顧客の業種、など

これらのデータは、そのままでも貴重なデータですが、分析・分類・再編集しておけば、市場の動向や自社の競争的地位を知ることができます。また、マーケティング活動において発生する問題を明確にし、規定するためにも、実態調査を前提とするデータ分析としても利用することができます。

外部データ

二次データのうち、官庁統計データ、業界団体などの調査データ、新聞社・放送局の調査データなどは、「外部データ」と呼ばれ、次のように分類されます。

出版物

官庁統計データ
政府、地方公共団体などの公的機関が調査・作成し、刊行物として継続的に公表しているもので、マーケティング活動の基礎的データを得るために最も重要な情報源と言えます。主要な統計リストとしては次のようなものがあります。
国勢調査、家計調査、工業統計調査、中小企業景況調査、経済白書 など
業界団体などの調査データ
様々な業界団体に共通する諸問題について調査されたデータです。
新聞社や放送局の調査データ
広告主に対するサービスと、自社媒体の広告面での価値を広く知らせることを目的に実施される調査によって得られたデータです。
調査専門会社の調査データ
調査会社の行なった調査のうち公表され、刊行されている調査データも、マーケティング活動における問題を明確にするために必要な情報を提供しています。

社外データ・コンピュータデータベース

インターネット・データベース、オフライン・データベース、社外データ・シンジケートサービスなどがこれに含まれます。

お役立ち

マーケティングリサーチの手順

マーケティング戦略を立案するために行なう調査、マーケティングリサーチ。「開発した新商品が消費者にどう評価されるか知りたい」、「既存の商品が売れなくなったが、どこに原因があるかを探りたい」など、マーケティング上のテーマが発生したときに企画します。

マーケティングリサーチを行なう際には、調査で何を明らかにするのかを決める「調査目的の具体化」が必要です。続いて、誰にどのような調査を行なうのかを決める「調査企画」。そして、具体的に質問の内容や仕方を固める「調査票の作成」と続きます。ここまでが「調査設計」と呼ばれ、この調査設計にしたがって実際に調査を行ないます。調査後には集計・分析を行ない、分析結果を報告書にまとめ、各所へ報告して終了です。これがマーケティングリサーチの大きな流れです。

マーケティングリサーチの手順

マーケティングリサーチの手順

ここでは、マーケティングリサーチの「調査目的の具体化」から「調査の実施と集計・分析・報告」まで、各手順の内容や留意点を詳しく紹介しながら、その全体像を把握していきます。

調査目的の具体化

調査目的の具体化

マーケティングリサーチでは、調査で把握する内容を明確にし、マーケティング上の問題解決にどのように使うかを明確にしておくことが大切です。マーケティング上の問題解決をそのまま調査で明らかにできるとは限らないため、調査目的を具体化しておく必要があります。

調査目的の具体化には、既存のデータを集めて調査仮説を作ります。仮説の設定によって、調査の方向性を見誤ることがなくなり、これから調査すべきことが整理できます。調査仮説ができると調査で把握すべき項目が生まれますが、調査すべき項目が複数出てきても、問題解決のために必要性の高い項目を優先的に選ぶことが重要です。

調査企画①/調査手法と対象者の抽出など

調査企画①/調査手法と対象者の抽出など

調査目的を達成する手段を具体的にしていくのが調査企画。「調査手法」「調査対象者」「調査対象者抽出方法」などを決めていきます。調査手法には「定量調査」と「定性調査」があります。仮説の検証には前者が、仮説の構築には後者が用いられることが一般的ですが、実際には両者を組み合わせて利用することが多いです。定量調査ではインターネット調査が中心で、定性調査ではデプスインタビューやグループインタビューが代表的な手法です。

調査手法が決定したら、調査対象者を設定していきます。設定条件は調査目的によっても異なりますが、ターゲット戦略やコミュニケーション戦略に利用しやすいため、性別・年齢・職業などの「デモグラフィック」、独身か夫婦かファミリーかなどの「ライフステージ」などがよく使用されます。サンプリング誤差が少なくなるため、調査対象人数(サンプル数)は多ければ多い程良いとされていますが、調査費用もかさむため、信頼性とのかね合いでサンプル数は決定しておくと良いでしょう。調査したい範囲「母集団」すべてに調査を実施することは稀で、その中から対象者を選び出すことが一般的です。選び出す作業「調査対象者抽出法(サンプリング)」が調査の精度に与える影響も少なくないため、サンプリングについても適切な方法を選択することが重要です。

調査企画②/調査項目、スケジュール、予算の設定など

調査するポイントを明らかにするため、調査目的から必要な項目を洗い出して整理し、調査項目をまとめます。ひとつの項目で調査目的が達成されるとは限らないため、複数の項目を組み合わせて総合的に判断するのが一般的です。

調査に必要な期間は、調査手法や内容、規模などによって算出します。近年はインターネット調査が普及し、調査期間は短くなる傾向です。調査費用は、調査目的や調査方法、必要なサンプル数などから割り出します。依頼する調査会社によって見積金額は異なるため、複数の会社に依頼して比較検討すると良いでしょう。予算が合わない場合は、調査手法、サンプル数などを検討し直しますが、サンプル数の変更は測定誤差を大きくすることもあるため、慎重に検討しなければなりません。

調査を依頼する調査会社の選定は、調査の質に大きく影響します。会社の得意領域を見極めることが大切ですし、個人情報の管理体制についても確認しておきましょう。プライバシーマークを取得しているかどうかは判断基準のひとつになります。

調査票の作成

調査票は、質問の流れを作る、回答形式を決める、質問を文章化する、プリテストを行なうという手順で作成します。作成上の留意点は、次のような点が一般的です。

  1. テーマごとに質問をまとめる
  2. 答えやすい質問から難しい質問へ
  3. 実態から意識へ
  4. 具体的な質問から抽象的な質問へ
  5. 身近な話題から専門的な質問へ
  6. 論理的な流れにしたがう
  7. 重要な質問は前半で聞く
  8. 順序のバイアスを検討する
  9. ローテーションを検討する
  10. スクリーニングの質問は最初に置く

回答形式も、自由回答法、二項目選択法、多項目選択法など様々です。長所や短所がありますので、調査目的や手法によって適当な形式を選びましょう。また、文章表現にも配慮が必要です。対象者全員が分かる言葉を使う、なるべく短く簡潔に、あいまいな言葉遣いを避ける、などが注意したい点です。

調査の実施と集計・分析・報告

調査企画で定めた内容にしたがって調査を実施し、調査後は集計・分析に移ります。分析については様々な手法があるので、調査の方法や内容によって使い分けます。分析によって得られた調査結果の他、調査概要、結果をまとめた結論、資料などを盛り込んで、調査報告書をまとめれば終了です。

お役立ち

マーケティングリサーチの創意と工夫

マーケティングリサーチの創意と工夫

マーケティングリサーチでは、いくらかの工夫をすることで、回収率をアップしたり、結果を深く読み取ったりすることができます。ここでは、活用しやすい工夫の例を挙げます。

すぐれた調査のためのプリテスト

すぐれた調査のためのプリテスト

調査の前には、簡易なもので構わないのでプリテストを実施することが有効です。知り合いの中から、設定されるターゲットに近い人や担当するカテゴリや商品の愛用者を選び、商品を選ぶ基準や愛用の理由などを取材します。知り合いから詳細な意見を聞くことで、調査テーマに対する購入や使用の実態がつかめます。

正式なサンプリングをしていないので、市場の代表性に乏しいという欠点はありますが、初期の手軽な情報収集としては効果的です。とりわけ調査経験が浅いマーケターには必須と言っても良いでしょう。事前に実施することで、自分でも気づかなかった多くのことが分かります。まずは自分自身で回答してみるのも良いでしょう。

マーケティングの現場で学ぶ

マーケティングの現場で学ぶ

マーケティングの問題も答えも現場にあると言っても過言ではありません。マーケティングリサーチ立案の前に、まずは現場に学びましょう。なかでも、効果的なのが店頭観察です。商品が売られている店頭に出向いて、消費者の動向を自分の目で観察します。商品が使用の現場に足を運んで、実態を知るのも有効です。

現場での観察の視点は多岐にわたります。消費者が何を見て、どのように迷い、最終的にどの商品を選ぶのか。現場で得られる情報は豊富です。机上のデータからは得られない、真実がつかめることも多いのです。

調査対象者の本音を知る工夫

調査対象者の本音を知ることは重要ですが、なかなか難しいのも確かです。本音を引出すには、聞き方にも工夫が必要でしょう。選択肢方式で限界がある場合、投影法を用いるのもひとつの方法です。

投影法は、心理学で多用される調査手法で、外部からの観察や意識的内省(自己観察)では把握しきれない調査対象者の心理や知覚機能などを理解する方法です。投影法では直接自分のことを聞かれるのではなく、提示されたものを見てどう思うかを答えるため、答えにくい質問でも答えやすくなる傾向があります。第三者的な立場で意見を求める形を取りながら、本音を探ることができるのです。風船のようなセリフを書き込む空欄を用意し、その中に文章や会話を埋めてもらう「バルーン法」、必要な単語や商品写真などを準備し、それらを使って自由に話をつくってもらう「造話法」などがあります。“ゲーム感覚で答えて下さい”と説明して、回答者の心理的負担を軽減すると高い回答が得られます。

調査の回収率を上げる工夫

調査の回収率向上は調査精度のうえでも、とても重要です。回収率が低いと、調査に協力してくれた対象者が固有の塊の集団である可能性もあるからです。一般社団法人社会調査協会発行の「社会と調査」(2012年(平成24年)9月30日発行)から、調査の回収率アップにつながるポイントをみていきましょう。

訪問調査の留意点

国が実施する訪問調査では、面接聴取法よりも留置き法の方が回収率が高いようです。調査に協力した理由で「時間が空いていたから」が多いことから、都合の良い時間に調査票に記入できる留置き法の方が対象者の協力を得やすい傾向があります。

一般的に、研究機関や大学の名前で調査を依頼すると、回収率が高くなると言われています。協力した理由の上位に「調査の目的が明確だから」がきていることからも分かるように、対象者に調査目的をしっかりと伝えることが必要です。

また、「調査員の人柄を信用したから」といった回答も多く、調査員の身なりや言動も大きく影響を与えているようです。調査員が必要な調査の場合、教育が行き届いた調査会社を選ぶことも大切です。 調査の時間については、地域や年齢で差があるものの、「平日の午後から夕方」がもっとも多く、「平日の夕方から夜」が続きます。大都市や若年層を対象とした調査であれば、平日の夜が良いでしょう。

郵送調査の留意点

郵送法は、一般的に回収率が低いと言われていますので、特に工夫が必要です。

封筒に工夫する
  • 角2など、A4サイズの調査票がそのまま入る封筒にする
  • 封筒の色にも配慮する
  • ロゴやカットなどを印刷すると効果的
  • 「郵便料金別納」よりも切手を使用する
  • 調査対象者に関心を持ってもらうため「皆さまのお考えをお聞かせ下さい」などの文言を添える
回答してもらう工夫
  • あいさつ状を用意し、調査の趣旨説明と依頼をする
  • 謝礼品を同封する
  • 簡単で、調査対象者が関心を持つような質問を用意する。特に最初の質問に注意を払う
返送してもらう工夫
  • 切手を貼った返送用の封筒を同封する
  • 返送用封筒は糊付け不要のハイシール付きが望ましい
  • 記入のための十分な期間を設ける
  • 返送した場合の追加の謝礼も用意すると良い

お役立ち

リサーチの分類

リサーチの分類

マーケティングリサーチには、大きく分けて、「定量調査」と「定性調査」の2つがあります。データを数字で把握する定量調査、数字では把握できない定性調査と、個性は異なりますが、実際には、両者を組み合わせて利用することが多くみられます。また、定量調査で全体を把握したのちに、取材対象者を絞り込んで、定性調査で消費者の本音を深く調査することも有効です。両者には具体的な調査方法がそれぞれありますので、あとで詳しく紹介します。

また、この他に企業を対象としたB2B(Business-to- Business)調査や、サービス業にとっての調査、サービスマーケティングなどもあります。一定の状況下における観察対象者の行動を観察して、なぜそのような行動を取るのか、あるいは取らないのかを考察する観察調査や、第三者が消費者として何かのサービスを実際に利用し、その情報を提供することでサービスの実態や品質をチェックするという覆面調査など、求めるデータに合わせた調査法は様々です。

定量調査と定性調査

定量調査と定性調査

取得されるデータの形式と調査のやり方によって分類される調査タイプ。ここでは、定量調査と定性調査の違いや、それぞれの特徴と具体的な調査手法をみていきます。

調査のタイプとデータの形式

調査のタイプとデータの形式

調査のやり方は質問法、観察法、実験法の3種類に分類できます。さらに、質問法は「面接調査」「電話調査」「郵送調査」「留置調査」「インターネット調査」に、観察法は「参与調査」「非参与調査」にそれぞれ細分化できます。また、実験法は「フィールド実験」「実験室実験」に分類できます。

前述の通り、定量調査と定性調査では得られるデータが異なります。定量調査では、サンプリングを伴うアンケート調査や電話調査などにより、量的データを取得します。定性調査と比べると多くのデータを得られるため、代表制のある客観的な評価が実現できます。また、統計的な手法を適用しやすいといった利点もあります。

それに対して、定性調査では調査員が回答者に質問したり、自由記述の文章で回答してもらったりして、データは言葉として取得されます。そのため、消費者の深層心理や態度について詳しく把握したり、明らかにしたい現象に関する仮説を洗練させたりするのに有効です。ただし、定量調査程多くの被験者からデータを得ることは困難です。それぞれの利点と欠点をよく理解して、適切なデータを取得するために使い分けましょう。

定量調査

定量調査は、調査結果を比率や平均値で数値化する調査で、活用機会も非常に多くあります。定量調査の中でも、質問票を用いる「サーベイ法」と現在進行中の人や事物の行動の事実を記録する「観察法」に分けて、活用領域をみていきましょう。

サーベイ法の活用領域
  • 結論を数値の大小で判断したいとき
  • 母集団の構造を数値化して知りたいとき
  • 時系列分析をしたいとき など
観察法の活用領域
  • 店や施設の出入客数を調べたいとき
  • 人や車などの通行量を測定したいとき
  • 実験店舗でのブランド選択状況を観察したいとき など

サーベイ法と観察法では、それぞれ次のような長所が挙げられます。

サーベイ法の長所
  • 標準化されている
  • 管理が容易
  • 意見・態度を探り出す力がある
  • 統計分析ができる
  • サブ・グループ間の際を分析できる
観察法の長所
  • 行動を正確に測定できる
  • 記録機器の活用によって、正確で詳細な分析ができる
  • ミステリー・ショッピングリサーチが可能

定量調査では、次のような手法が挙げられます。

①インタビュア管理型調査
インタビュアが対象者に質問し、回答を記入します。対面方式の家庭内インタビューや街頭インタビュー、電話インタビューがあります。
②対象者管理型調査
対象者が自ら調査票を読み、直接回答を記入します。
③コンピュータ管理型調査
コンピュータの機能を活用します。コンピュータ支援電話インタビュー、インターネット調査などがあります。

それぞれの手法の長所と短所を把握して、調査計画にどのように取り入れるかは、マーケティングリサーチャーの腕の見せ所です。

定性調査

特定の意見や行動に絞って、深く“垂直的に”分析するのが特徴で、個人の中身を詳しく知ろうとする調査です。マーケティングリサーチの中で、探索型(開発型)リサーチにあたり、定量調査の実施前に行なわれることが多くあります。

定性調査の活用領域として、次のようなものが挙げられます。

  • 問題点と機会の発見/特定の問題点や機会を明らかにして、解決の糸口を探りたいとき
  • 典型的な態度・行動などの背景構造の把握/典型的な消費者行動や態度を発見するとともに、その背景となる構造を知りたいとき
  • 新仮説の発見と精緻化/新しい仮説の発見や現在の仮説を精緻化したいとき
  • 未知分野からの知識の収集/未知の分野から基礎知識を得たいとき

などが挙げられます。

定性調査の主な技法として、次のようなものが挙げられます。

①FGI(フォーカス・グループ・インタビュー)
定性調査の中ではもっともメジャーな手法です。各セッションについて5~8名の対象者が、司会者の指示により、通常2時間程話し合います。
②ディテイルド・インタビュー
インタビューは対象者に1対1で面接し、テーマに関する詳細な発言を収集・分析します。
③ラダリング・リサーチ
製品の属性と人の価値観に梯子(ladder)をかけ、製品が消費者にとってどういう意味をもたらすかを明らかにします。
④投影法
対象者の潜在的心情を明らかにしようとするものです。文章完成法、語句連想法、漫画完成法などがあります。
⑤プロトコル法
対象者が頭の中で考えている意思決定事項を口頭で語ってもらい、それを記録して分析するもの。
⑥エスノグラフィック・リサーチ
専門調査員が消費者のありのままの生活や購買シーンに入り込み、その実態を記録。現場の真の姿やその原因を文化人類学的に探ります。
⑦違背実験
意図的に通常とは異なる状況を強制的に設定し、通常の状況を成立させている意味を探ります。

その他の調査

定量調査と定性調査以外にも、様々な調査があります。

B2B(Business-to- Business)調査は、企業を相手にしているため、一般的なB2C調査とは異なり、次のような特徴があります。

  • B2C調査に比べると調査対象が圧倒的に少なくなりますが、調査対象あたりの扱い量は、はるかに多いという傾向があります。
  • 意思決定が複数の人に及ぶため、ひとつの企業内で複数の人々を調査対象とする必要があります。また、調査対象を誰にするかが非常に重要です。
  • B2Bの製品やサービスはB2Cと比べて、技術的に複雑で高度な場合が多いため、リサーチャーもそれをよく理解して、相応の知識を備える必要があります。

サービス業の調査では、銀行、保険会社、百貨店、コンビニエンスストア、病院など幅広い企業を対象としています。形のないサービスを対象としたもので、顧客が企業に持つイメージが重要になる、有形財と違って在庫することができない、サービス提供者のTPOによって異なるなどの特徴があります。

お役立ち

具体的な方法その1

具体的な方法その1

前述の通り、リサーチ方法には「定量調査」と「定性調査」の2種類があります。定量調査には、対象者と顔を合わせて行なう面接調査と、顔を合わせない非面接調査があります。定量調査としては、電話調査、郵送調査、インターネット調査などが挙げられます。一方、定性調査としては、面接調査が挙げられます。

調査には、それぞれ長所と短所があり、かかる費用も異なります。調査目的や調査対象に応じてふさわしい調査は異なりますので、最適な調査を組み合わせて実施することも場合によっては必要です。

ここでは、訪問面接調査、訪問留置調査、会場集合調査など、代表的な11の具体的な調査方法について、その概要と特徴、調査を行なう際の留意点を紹介していきます。

訪問面接調査

訪問面接調査

面接調査は、調査員が対象者と対面して口問口答で調査を行なう調査です。路上で行なう街頭調査や、会場で行なう会場調査などもこれにあたりますが、ここでは、一般世帯を訪問して調査対象者に直接質問する、訪問面接調査についてご説明します。

一般世帯を訪れた調査員は、質問票にしたがって、調査対象者に質問を読み上げながら調査を進めます。回答を得る方法は2通りあります。ひとつは、あらかじめ用意した回答表を提示して、その中から該当する選択肢を選んでもらう方法。もうひとつは、自分の言葉で、口答で答えてもらう方法です。対象者の言葉はできるだけ回答されたままを書き取るようにします。調査が終了したら、記入ミスや漏れがないかをチェックし、お礼を述べてから立ち去ります。

この調査では、対象者が事前に学習したり、調べたりすることがないため、ありのままの正直な回答を得られることが特徴です。事前にオリエンテーションを行なった専門の調査員が回答を記入するので、記入ミスや漏れは少なく、無効票がほとんどありません。また、回収率の高さも期待できます。その一方、人手と時間がかかります。

留意点としては、調査員が余計な説明を加えず、質問文をそのままに読むこと、服装や態度に気を配ることが挙げられます。また、調査対象者ではない、他の家族が回答しないように注意が必要です。

訪問留置調査

訪問留置調査

留置調査は、調査対象者に調査票を預けて記入してもらう調査です。調査票を預ける方法には、調査員が対象者のところに出向いて直接渡す方法と、郵送する方法がありますが、ここでは直接渡す訪問留置調査についてご説明します。

調査対象者に協力を依頼して記入要領を説明し、調査票を渡します。後日、ふたたび訪問して調査票を回収します。この調査の利点は、対象者にとって回答する時間の都合が付けやすいところです。そのため、資料を確認したうえで回答する場合や、回答する分量が多めの場合に適しています。さらに、調査員が回収するので、回収率が比較的高く、回収時に記入ミスや漏れを発見して、その場で質問し、回答を訂正することもできます。

気を付けたいのは、必ず対象者に回答してもらうことです。家族に預けると本人に回答してもらえないことがあるので、できるだけ本人に直接会って依頼することが大切です。回収日までに回答してもらえない場合は、回収日を翌日まで延ばしたり、返信用の封筒を渡して郵送を依頼したりといった対応も必要です。

会場集合調査

会場集合調査は、あらかじめ設定した会場に調査対象者を集めて、アンケートやインタビューを行なう調査です。あらかじめ調査対象者を抽出して、当日、会場に来てもらう方法と、当日に会場周辺で協力依頼をして対象者に設定する方法があります。前者では、会場への交通費など経費が必要ですが、後者ではその必要がありません。

この調査の大きな利点は、同じ条件下で調査ができることです。例えば、コーヒーの味覚テストを行なう場合、作り方を対象者に任せると、それぞれで作り方が異なり、違った味になってしまう可能性があります。条件が異なると、正しい味の評価が得られませんが、会場調査なら同じ条件で味の評価を得ることができます。

その他、情報の守秘もあります。会場調査では、情報が会場から持ち出されることがありません。そのため、試作品など秘密が伴う場合に適しています。プロジェクターやパソコンなど設備が必要な場合でも、会場に持ち込めるので便利です。

注意すべき点は、会場の手配や要員の配置、調査物品の準備などです。また、当日調査を依頼する場合は、快く協力してもらえるように配慮しましょう。

郵送調査

「郵送調査」とは、調査対象者に郵送で調査票を送付し、記入済みの調査票を郵便で返送してもらう方法です。近年は、郵便でなく宅配便などを利用する場合もみられます。

利点としては、調査員の人件費や交通費がかからず、郵送代(切手代)が実施費の中心なので、安価に実施できる点が挙げられます。また、全国を対象にするなど広範囲の調査も可能です。調査員と調査対象者が対面することがないので、聞きにくい質問をする場合も向いています。

しかし、対象者の住所や氏名が分からないと郵送できないという難点があります。近年は、個人情報の管理が厳しくなり、情報の入手が難しいので、顧客リストや会員名簿などの利用が前提になります。加えて、返信するか否かが対象者にゆだねられるので、回収率は一般的に低くなります。

この点をクリアするためには、送付する封筒に注目し、興味を持ってもらえる工夫をしたり、記入の仕方について詳しい説明を添えたりするなどの工夫が大切です。返信用の封筒を同封することは必須です。

電話調査

電話調査は、調査員(オペレーター)が対象者に電話をかけて、口問口答で調査を行なう方法です。あらかじめ入手した電話番号に対して調査する場合と、無作為に抽出した番号に行なう場合があります。過去には、電話帳から電話番号を抽出していましたが、最近では主にRDD(Random Digit Dialing)が利用されています。これは、コンピュータで無作為に数字を組み合わせて電話番号を作り、電話をかける方法です。

電話調査には、多くの電話とオペレーターが必要です。そのため、多くの場合は設備を備えた電話代行業者(コールセンター)に依頼することになります。リストアップされた番号に電話をしたオペレーターは、コンピュータの画面上にある質問を読み、回答を入力していきます。

コールセンターに依頼する場合は、オペレーターへの指示や現場の管理に注意が必要です。また、調査票についても、電話で受容できる質問量にする、単純明快な質問にするといった配慮をしましょう。近年は、固定電話を所有しない人が増えていますので、今後は使用頻度が減少する調査法かもしれません。

お役立ち

具体的な方法その2

ファックス調査

ファックス調査

ファックス調査は、ファックスを使ってアンケート用紙を送り、ファックスによって回答を返信してもらう方法です。

電話と違って、口頭では伝えられないマークやロゴなど、ビジュアルについての情報を伝えやすいという利点があります。また、郵送に比べると早く調査対象者に届き、かつ回答も早いので、即効性にも富んでいます。また、郵送に比べて、比較的到達率が高いことも特徴です。しかし、あまり問題数が多くページ数が増えると、対象者の回答する意欲が減少しますので、2~3枚程度にとどめるのが理想です。

近年は、インターネットが普及してメールの使用が増えたことから、ファックスを所有しない家庭も増えていますので、今後はあまり使用されないことも予想されます。

インターネット調査

インターネット調査

インターネット調査は、ウェブ上に選択式や記述式で回答を求めるアンケートフォームを作成し、アンケートに答えてもらう方法です。

従来の郵送調査や街頭調査などと比べて、通信コストや人件費が最小限に抑えられ、調査期間が短くて済むという傾向があります。また、画像や動画を使った調査にも適しています。加えて、前後の回答に矛盾点がないかどうかを確認する「ロジカルチェック」や、初めの方にある選択肢に回答が偏ることを防ぐ「選択肢のランダム表示」などがITを用いることで簡単に行なえるため、精度の高い回答が期待できます。取材の回答者は、オープン型、パネル型の2つに分けられます。オープン型は、調査会社がウェブ上で調査を告知し、応じてきた人に対して調査を行なうタイプ。パネル型は、ウェブ上の告知であらかじめ調査協力者をパネル登録しておいて、調査依頼があるごとにパネル登録者を利用して調査を実施するタイプです。

この調査は、インターネットを利用できる環境にないと実施できません。また、パネル(標本、グループ)を利用した場合、調査会社に自主的に登録した人たちが調査対象者となります。

インタビュー調査

インタビュー調査

インタビュー調査は、調査員が対象者に直接聞き取りをする方法です。複数の対象者からなるグループインタビューと、1対1で行なうデプスインタビューがあります。

グループインタビュー

6~7名程度のグループを対象に、「モデレーター」と呼ばれる司会者が座談会形式でインタビューを行ないます。通常は120分程度で、用意した質問シートにしたがって進めますが、議論の展開によって、臨機応変な対応をする必要があります。

複数名で同時に行なうので、他者の意見に影響されて態度を変えたり、自分では気付かなかった心理に気付いたりする対象者もいます。グループインタビューで重要となるのは、モデレーターの役割です。時間の管理をしながら、対象者の本音を引き出さなくてはいけません。

デプスインタビュー

デプス(depth)は英語で深さを意味し、その名の通り、モデレーターと調査対象者が通常1時間程かけてインタビューします。具体的で本質的な消費者心理が把握できます。他人の前で話すのが苦手な人や、他人には聞かれたくない調査にも適しています。一日に実施できる人数に限りがあり、アポイントを取るのも難しいので、十分な調査期間を設けましょう。

パネル調査

パネル調査は、調査対象を長期間固定して継続的に行なう方法です。パネル(Panel)とは窓などの枠のことを意味し、ランダムに選び出した特定の調査対象者をパネルとして固定することで、同一項目のデータを継続的に収集します。時間の推移による変化を分析したり、収集したデータの集計分析を行なったりして、結果を定期的に発表することができます。

パネル調査は、継続的な調査結果を読み解くことで変化を見出し、顧客ニーズや市場の変化を捉える際に有用なデータとなります。経営判断や、中長期的な計画の進行を確認する際には不可欠です。

パネル調査は、長期間の調査活動になること、パネルを継続固定するためのコストがかかること、調査表を綿密に作成する必要があるため、調査費用が高くなりやすいことなどが欠点として挙げられます。また、調査の目的やデータの活用目的が定まっていないと、継続が難しくなり調査が打ち切られ、無駄になってしまうこともあります。

オムニバス調査

オムニバス調査は複数の調査依頼者(クライアント)を広く募集して、同一の調査に相乗りさせて実施する調査方法です。調査票は各依頼者がそれぞれ用意した質問で構成され、対象者の選定、フィールド、集計の各作業はすべて共通になります。相手先に提出される集計結果は、それぞれの依頼部分のみです。分析は簡単なものだけで、詳細または複雑な分析は行ないません。

オムニバス調査のメリットとして、調査費用が割安になることが挙げられます。質問数がわずか10問の調査を1万サンプルに対して単独で実施するとすれば、質問数に関係のないフィールド部分の費用が膨大となり、質問数30問の調査の3分の1の費用にはなりません。しかし、質問数10問ずつの依頼者が3人相乗りしてオムニバス調査を実施すれば、各依頼者が負担する料金は確実に3分の1ずつになる。これがオムニバス調査の大きなメリットです。

パイロット調査

パイロット調査は、調査の企画段階において必要なデータの収集のために実施される事前テスト・予備的な調査のことで、「試験調査」とも呼ばれます。パイロットには、試験的に行なうもの、先行するものという意味があります。質問・アンケート形式の調査などで、質問項目の内容や量などが適しているかどうかを、本番の調査の前に行なって、実際に確認することを目的として実施されます。パイロット・テストを行なうとき、本番での内容については、ほぼ完成である必要があります。

これとは別に、業界、製品についての知識、情報の収集とクライアントが提起した課題を深く掘り下げて、何らかの手がかりを得るための調査として行なわれることもあります。

お役立ち

データの整理と集計

「マーケティングリサーチ」とは

集計では、調査で得られた生のデータ(ローデータ)を集約・加工して、数表を作り上げていきます。調査で得た回答を価値ある定量情報へと加工し、マーケティング上の重要な判断に活用できるようにします。

データクリーニング

データクリーニング

集計作業は、調査票のチェックから始まります。記載内容に誤りや記入漏れなどがないか、確認して修正する作業「データクリーニング」を行ないます。回答間の論理的矛盾なども点検して修正し、完全なデータにしていきます。必要であれば、再調査を行なう場合もあります。集計のための点検ポイントは、次の通りです。

①スクリーニング条件のチェック
性別・年齢など、あらかじめ定めた調査対象者の条件を満たしているか、点検します。条件を満たしていない人の回答があれば除外します。
②サンプル番号(調査票番号)のチェック
調査票を管理するための通し番号に漏れや重複がないかチェックします。誤りがあると、調査人数を正確にカウントできない、誰の回答か分からなくなる、などの問題が生じます。
③全体的な記入状況のチェック
調査票全体を見て、記入漏れや無回答が多い調査票は無効票とします。精度の低い調査票を集計・分析に含めると、調査結果全体の精度が下がってしまうためです。
④チェック印の位置のチェック
データ入力時のミスを避けるために、○印やチェック印などが記入位置からずれていないか確認して、正しい位置に修正します。
⑤回答条件との適合性のチェック
指定の数より多すぎる回答や順位の重複など、回答条件と適合していないものをチェックし、修正します。
⑥自由回答の文字や数字の表記のチェック
データ入力者の負担を減らすため、自由回答で読めない文字や数字を判読します。
⑦自由回答の意味内容のチェック
意味が分かりにくい回答の内容を判読して処理します。対象者が調査票を自ら記入する場合に発生しがちです。
⑧「その他( )」の具体内容のチェック
⑥⑦と同様に、判読しやすいように回答を整えます。
⑨回答指示との整合性のチェック
回答すべき質問を飛ばしていないか、逆に回答する必要がない質問に回答していないかなどを確認します。
⑩回答内容の一貫性のチェック
正反対の意見に同時に回答するなど、論理的に一貫性が求められる質問に矛盾がないかを確認します。

データ入力後にも、入力ミスによる重複データのチェック、回答番号外の数字入力のチェックなどを確認します。

集計作業

単純集計

単純集計

データクリーニングとデータ入力を終えたら、単純集計の算出を行ないます。「単純集計」とは、調査結果の全数ベースでの集計結果のことです。英語の「Grand Total」の略称を用いて、「GT」と呼びます。

単純集計には、主に2つの役割があり、ひとつは調査結果の速報です。調査結果の全体の傾向を大つかみに把握したいとき、GTが記載された一覧表、GT表を見ます。もうひとつは、集計計画を立てるための資料としての役割です。回答結果から新たに集計軸を作るとき、全体の傾向を見て、どのように区分するかを考えます。

分析のために新たに区分を作ることを「カテゴライズ」と言います。また、2つの質問を同時に組み合わせて集計するときにサンプル数が少なすぎないかをチェックするときや、逆にもっと細かく分けた方が良いかをチェックするためにも単純集計は使われます。

クロス集計

単純集計を見ただけでは分からない、より深い分析を行なうための集計方法として、クロス集計があります。クロス集計とは、“Cross=組み合わせる、交差させる”という意味の通り、2つ以上の質問項目の回答内容を組み合わせて集計することで、回答者における特定のグループ層の反応の違いを見る場合などに用います。例えば、対象者特性(性別、年代など)で回答者を分類し、その分類ごとに回答結果を集計した場合、「属性によるクロス集計」になります。

クロス集計をするためには、どのようなクロス集計が必要かを示す集計計画が必要です。集計計画は、次のように行ないます。表の上部に入る項目(表頭)に、すべての質問項目を配置し、表の左側部分(表側)にはすべての質問と掛け合わせるクロス項目としての「基本クロス」を配置します。そのように作成したマトリクスの一覧表で、クロス集計が必要な項目に印を付けていきます。このようにすることで、集計漏れのない集計計画を策定できます。ちなみに、すべての質問と掛け合わせて集計する分析軸となる「基本クロス」には、性別や年齢・年代、職業、収入などが多く用いられます。

最近、クロス集計はパソコンのアプリケーション上で簡単にできるようになり、ネットリサーチ会社が無料でアプリケーションを提供しているところもあります。このようなアプリケーションを用いると、集計計画を行なう必要もなく、自分のパソコンで望んだ集計を出すこともできます。

お役立ち

分析手法その1

分析手法その1

マーケティングリサーチにおける分析とは、集計された数値や自由回答を読み込んで、データから意味を取り出すことを言います。つまり、調査対象者の意識や実態をより深く理解するために、様々な角度から全体を個別の要素に切り分け、価値のある情報を作り出す作業です。

分析に入るには、分析の目的を確認し、分析の切り口となる分析軸を設定しておきます。分析に備えて、集まったデータはクリーニングして単純集計し、全体の概要をつかみます。より深い分析を行なうためには、このあとにクロス集計を行ないます。

マーケティングリサーチの分析には、様々な手法があり、どれを用いるかは収集データの種類と目的によって異なります。目的に即した分析結果を得るために、適切な解析法を選択することが必要です。

テキストマイニング

テキストマイニング

データマイニングの手法のひとつで、定形化されていないテキストデータを対象とした分析手法です。大量のテキストデータに埋もれている共通性や傾向、相関関係などを発掘して活用する手法のことです。テキストマイニングの対象としては、コールセンターでの顧客とのやり取りの記録や営業日報、自由記述のアンケート、インターネット上のブログやクチコミなど、自然文の形で蓄積されている数多くのテキストデータが存在します。自由回答の文章をそのまま分析することはできないため、単語やフレーズなどのキーワードに分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析することで有用な知見を抽出します。

これにより、全体の傾向や重要事項の発見などが可能になります。顧客の購買傾向を分析するというよりも、商品の評価を調べたり、サービスの不満点などお客様の声を把握したりする際に主に用いられる手法です。

データマイニング

データマイニング

データマイニングでは、企業の取引において使用され、企業に蓄積されている、大量のデータを解析します。具体的には、小売店の販売データや電話の通話履歴、クレジットカードの利用履歴などのデータで、その中に潜む項目間の相関関係やパターンなどを探し出す手法です。マイニングは「採掘」という意味の英語で、大量のデータの中から有用なデータを発掘するという意味合いが込められています。

「データマイニング」という言葉が世の中に誕生したのは、1995年(平成7年)頃のことです。大規模データベースでも対応できる解析方法の総称として発表されました。膨大な作業や計算が必要なため、当時は現実的ではありませんでしたが、大容量のデータ蓄積が可能になったことや、解析技術の高度化などにより、現実的になりました。

データマイニングにはテキストを対象とした「テキストマイニング」と、ウェブページを対象とした「ウェブマイニング」があります。

コンジョイント分析

私たちは商品を購入するとき、商品が持つ様々な要素や機能を熟考して判断し、購入します。この商品のどの要素や機能に影響を与えているのかを知る分析が、コンジョイント分析です。

商品に含まれる多様な要素を一度分解し、新たに属性の組み合わせを多数作ります。そして、新たに作った属性の組み合わせを見せながら、買いたい順に並べてもらったり、2つ1組で提示したりして、どちらが買いたいかなどを消費者に尋ねます。提示する要素は多くても構いませんが、その分消費者への負担が大きくなりますし、調査サンプルも多くすることが必要になります。このコンジョイント分析を行なえば、どの要素が購入に大きく影響したかが分かります。

因子分析

多くの変数を少ない因子という名前の変数にまとめる分析のことを「因子分析」と言います。この分析方法は、心理学者によって開発されました。心理能力を様々な項目を用いて測定したとき、お互いの項目間には関係が深いものとそうでないものがあります。関係の度合いはお互いの相関関数を算出すれば分かります。相関関数が高い項目は似た項目、引く項目はあまり似ていないことになります。

そのため、相関関数が高いものばかりを集めると、そこに通じる共通の概念があることになります。この項目間に通じる概念を「因子」と呼びます。例えば、30項目で調査した結果も、因子という概念を用いるともっと少ない項目で説明できます。簡単に言うと、多くの測定項目を因子という合成変量を用いて、より少ない変数にするのが因子分析です。

回帰分析

結果となる数値と原因となる数値から、それぞれの関係を予測する分析手法です。この分析法を様々なマーケティング要因間の分析において利用すると、様々な予測を立てることができます。

比較的容易な分析手法で、ひとつの目的変数をひとつの説明変数で予測するのが「単回帰分析」です。目的変数は明らかにしたい目的を表す変数で、説明変数は明らかにしたい目的を説明するための変数です。単回帰分析は、次の公式で表せます。y=ax+b。yが目的変数で、xが説明変数にあたります。2つの変数の関係式を求めることで、予測ができる分析方法です。現在では、エクセルなどのアプリケーションソフトがあれば、誰でも簡単に分析できるようになっています。

単回帰分析から少し複雑になったものが、「重回帰分析」です。こちらは複数の説明変数で予測します。

お役立ち

分析手法その2

クラスター分析

クラスター分析

クラスターは英語で、花やぶどうの房のことを言います。そこから、「クラスター」とはひとつの塊の中に同種のものがたくさん集まって全体を構成することを意味します。

「クラスター分析」とは、量的データで得られた結果から、類似性の高いものを複数のグループ(クラスター)にまとめていく分析手法です。

クラスター分析には「階層的クラスター」と「非階層的クラスター」があります。前者では1人をひとつのクラスターと考え、近い対象を階層的に結合していきます。後者では階層的な関係にはこだわらず、集団をあらかじめいくつかのクラスターに分割することを目的とします。

クラスター分析は、マーケティングでは人分けに使用されることが多いとされています。マーケティングリサーチの結果はデモグラフィック特性で分析されるのが基本ですが、この特性を超えて意識やライフスタイルが似た人が多いのも事実です。これらが似た人たち同士をグループにして、グループごとの調査結果がどう違うのかを把握したいときに有効な分析方法です。

コレスポンデンス分析

コレスポンデンス分析

表側項目と表頭項目から構成されるクロス表から2変量の関連性を視覚化する解析技法です。質的変数であるカテゴリを数量化し、カテゴリ間の関連性を調べることを目的としています。数量化3類と同様の手法ですが、こちらはフランスのベンゼクリ氏によって考案され、日本では「対応分析」や「対応解析」、「符号解析」とも呼ばれています。

クロス表であれば、%表、平均値表、生データの別を問わず解析できます。各ブランド(表側)とブランドごとの評価イメージ(表頭)などのクロス表は、この解析技法に頻繁に使われます。任意のクロス表から使用ブランドとそれらの使用TPOの関係を視覚化する、性能イメージのブランド間競合状況を視覚化するなどの活用ケースが代表的です。

CSポートフォリオ分析

CSポートフォリオ分析

CSポートフォリオ分析は、項目別満足度と総合満足度から重点改善領域を抽出する分析方法で、顧客満足度調査の基本となっています。得られた調査結果は、ポジションマップとしてグラフ化します。グラフの縦軸は各項目の満足度、横軸は総合満足度と各要素の相関係数を取り、各要素をプロットすることで、重点的に改善する要素が明らかになります。グラフは4つのグループに分割して分析します。

総合満足度は高いが、個別の満足度が低いグループが最優先の改善項目です。その他、総合満足度・個別満足度ともに高いグループ、総合満足度は低いものの個別の満足度が高いグループは現状維持をしておくと良い項目と言えます。

また、総合満足度・個別満足度ともに低いグループも、改善の必要度が低いです。 CS調査をはじめとする満足度調査の基本となる分析方法ですが、必要な項目が抜けていると効果的な分析ができないなど、分析を行なうには経験も必要となっています。

主成分分析

統計的多変量解析法の基本的手法で、イギリスの数理統計学者、カール・ピアソンによって開発されました。情報を要約する分析手法で、多変量データを統合して新たな総合指標を作り出します。多数の質問項目、特に具体的な評価や結果情報などの項目で個別要素の平均・分散・共分散を求めて、相関係数・相関行列(個別要因のかかわり合いの強さ)を算出するのが特徴です。

主成分分析の結果は、もとの観測値に対応した変換後の値である主成分得点と、各々の主成分得点に対する変数の重みに相当する主成分負荷量として得られます。この2つの状況をそれぞれ可視化した主成分プロット、または2つの図を重ねたバイプロットを通して結果を解釈するのが一般的な手法です。主成分分析を行なうためのソフトウェアはいくつかあり、どれを用いるかによって観測値を基準化する方法や数値計算のアルゴリズムに差異が出るため、全く同じ値が得られるとは限りません。

判別分析

「判別分析」とは、2つのグループの境界線をどのように引けば良いのかを導き出す分析です。あるいは、2つのグループのうち、どちらのグループに属するかを予測する分析法とも言えます。他の多くの多変量解析手法のように集団の情報を得るためというより、個人(個体)を分類する目的で使われることが多く、例えば、下記のような場面で用いられます。

  1. セールスの効率化のために、見込み客のデータをもとに、購入しそうなお客様と購入しそうにないお客様に分ける
  2. 現在の顧客をランク分けする場合の資料に使う
  3. クレジット申込者に対する与信(クレジットカードを発行するかどうかの決定資料とする)
  4. 検査結果から、疾病の有無を判断する

判別分析は、説明変数が量的変数の場合に用いられますが、説明変数が質的変数の場合は、数量化2類を用います。

お役立ち

マーケティングにおける消費者行動

マーケティングにおける消費者行動

マーケティングにおける消費者行動は、消費者がその製品やサービスを知り、選び、使って、破棄するまでのすべての経験もしくは心理を、時系列にしたがって段階的に表す行動プロセスのモデルで表されます。主にマーケティングプランナーが、マーケティング戦略の立案や評価を行なう際に用いられます。

購買行動プロセスには様々なモデルがありますが、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが唱えるSTP理論や、マーケティング学者、エドモンド・ジェローム・マッカーシーが説いた4P理論が有名です。STP理論は、誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にするための要素である「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つの頭文字を取っています。4P理論は「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」「Place(流通)」の4つのPの組み合わせ。どのような製品を、どのような価格設定で、どのような流通を使い、どのようなプロモーションを行なって販売していくのかがマーケティングであるという考え方です。

この他、製品認知から購買までに焦点をあてたAIDMAや、近年のネット時代に対応したAISASやAISCEASなども広く知られています。

AISAS

AISAS

AISAS(アイサス)は、「Attention(注意)」→「Interest(関心)」→ 「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」の頭文字を取ったもので、インターネット普及後の消費者行動の変化が反映された、消費行動プロセスモデルと言われています。1995年(平成7年)に広告代理店の電通が提唱し、2005年(平成17年)6月に商標登録しています。

AIDMAから、Desire(欲望)とMemory(記憶)が抜け、3番目のプロセスとして「Search(検索)」、Action(購買)後のプロセスとして「Share(共有)」が追加されました。これは、AIDMAが消費者の心理・気持ちを説明するモデルであるのに対して、AISASは実際の行動を説明するモデルとして捉えられます。「Search」は、製品やサービスに関心をもった消費者が、購入前に商品名や関連するキーワードを入力して検索エンジンなどで情報を調べるというプロセス。また、最後の「Share」は、ブログやSNS、クチコミサイトなどで、製品やサービスの感想などの情報を発信し共有するプロセスを示しています。

AIDMA

AIDMA

AIDMA (アイドマ)は、消費者が商品を認知して購入という行動に至るまでの心理的プロセスを表した、もっとも代表的なモデルです。1920年代、アメリカのサミュエル・ローランド・ホールが『Retail Advertising and Selling(小売りにおける宣伝と販売)』の中で「広告宣伝に対する消費者の心理的なプロセス」として発表しました。

「Attention(注意)」→「Interest(関心)」→ 「Desire(欲求)」→ 「Memory(記憶)」→ 「Action(行動)」の頭文字を取ったもので、これらは大きく分類すると、「認知段階」「感情段階」「行動段階」という3つのプロセスに分かれます。

1898年(明治31年)にセント・エルモ・ルイスが、消費者の心理的プロセスについて最初にモデル化した「AIDA(アイーダ)」(製品あるいはサービスに注目“Attention”し、興味“Interest”を持ち、欲しい“Desire”と思い、購買行動“Action”を起こす)から派生したモデルであると考えられています。

お役立ち

国内の主なマーケティングリサーチ会社その1

国内の主なマーケティングリサーチ会社その1

日々、膨大に生み出される商品やサービス。その開発には、莫大な開発費・製造費・宣伝費・流通費がかかっています。その失敗を最小限にするために欠かせないのが、あらゆる情報を収集し、消費者の行動心理を調査・分析するマーケティングリサーチ。先端技術を駆使した調査や高い分析力と経験を持つスタッフ、コンサルティング能力をもってこれを行ない、企業をサポートするのがマーケティングリサーチ会社です。

各社により、得意とする分野、調査手法、地域などが異なるので、調査を依頼する場合は調査内容にもっとも適した会社を選ぶことが重要です。スマートフォンやタブレットPCなどのICTデバイスの進歩とソーシャルメディアの普及により、情報を取り扱う経済活動が急激に変化している近年、新しいビジネスチャンスが生まれる一方で、データの取り扱いなどリサーチ会社に求められる要素も変化してきています。

インテージ

インテージ

1960年(昭和35年)に市場調査の専門機関「株式会社 社会調査研究所」として創業された、マーケティングリサーチ会社。日本最大級の消費・販売両方のパネル調査網を有していることが最大の強みで、マーケティングリサーチ業界では国内でトップ、世界でも第7位の規模と業績を誇っています。クライアントには、自動車・食品・飲料・化粧品などの大手メーカーや流通・金融・情報通信・観光・教育などのサービス業界、保険・医療・医薬品などのヘルスケア業界に加えて、インフラや官公庁なども名を連ねており、大きな影響力を持っています。日本企業の海外進出が増加するに伴って、中国、タイ、ベトナムなど東南アジア諸国にも進出して拠点を設けています。

2001年(平成13年)にインテージへと名称変更。2013年(平成25年)には持株会社制に移行し、社名は株式会社インテージホールディングスに変更されました。

ビデオリサーチ

ビデオリサーチ

テレビ番組の視聴率調査、ラジオ番組の聴取率調査をはじめとするメディアリサーチや、マーケティングリサーチを行なう調査会社。1962年(昭和37年)、電通や東芝、全国の主要民間放送局が中心となって設立され、現在でも電通が全株式の34.2%を保有しており、同社の持分法適用会社の位置づけにある他、主要なテレビ局や広告代理店が株主に名を連ねています。テレビ番組の視聴率調査翌日には『テレビ視聴率日報』(通称:日報)と言うレポートを発行し、最新の視聴率データをテレビ局や広告代理店などのクライアント(顧客)に提供。他にも、調査員による面接調査やアンケート調査、街頭調査などを用いてテレビ・ラジオ番組に関する様々な調査を行なっています。

サーベイリサーチセンター

1975年(昭和50年)に創業され、官公庁、自治体、民間企業、広告代理店、シンクタンク、大学など幅広いクライアントを有する、完全独立系の総合調査会社。調査業務の主な分野である「マーケティング調査」、「社会・世論調査/計画策定」、「都市・交通計画調査」の3つをいずれも手がけています。実施する調査は年間2,000件超。クライアントの厚い信頼と高い評価を得ています。また、全国に9つの事業所を展開。モニターは全国で200万人を有するなど、全国規模の調査体制を確立しており、様々なニーズに対応可能です。

平成22~24年度には栃木県佐野市のブランディング支援に携わり、2013ゆるきゃらグランプリで優勝した“さのまる”のサポーター企業としての一面も持っています。

電通マクロミルインサイト

インターネットリサーチ事業を核とするマクロミルが、電通マーケティングインサイトの株式51%を取得し、子会社化することで2014年(平成26年)に誕生した新会社。マクロミルは、日本でインターネットが普及しはじめた頃「市場調査のインターネットシフト」というイノベーションを起こし、新たにネットリサーチ市場を開拓した企業として知られ、現在リサーチ事業は年間取引数約2,000社、年間調査受託件数は2万件以上と圧倒的な実績を誇っています。調査設計から集計分析・報告書の作成までを行なう、電通マーケティングインサイトの「フルサービス型のノウハウ」とマクロミルのシステム構築力、営業力とを融合し、電通と連携して電通内で分散化していたインターネット調査を始めとするマーケティングリサーチを集約して受託することで、クライアント企業に対してより効率的で的確なサービスの提供を目指しています。

日経リサーチ

1970年(昭和45年)、マーケティング・オペレーション・センターとして設立された日本経済新聞社子会社の総合調査会社。

手がける調査内容は多岐にわたり、日経各紙をはじめ、各メディアに掲載される内閣支持率や社会動向に関する世論調査、企業・産業や消費者の動向調査など、多種多様です。国が実施する大規模調査である「経済センサス―活動調査」にも対応しており、その調査力には定評があります。また、世界53ヵ国での調査実績があり、企業の海外進出にも役立つサポート力にも自信を持っています。調査業務はもちろん、各種ビジネスデータの収集管理やデータメンテナンスも得意とする他、シンポジウム運営やコンサルタント業務など、多彩な分野で付加価値の高いサービスを提供することができます。

お役立ち

国内の主なマーケティングリサーチ会社その2

カンター・ジャパン

カンター・ジャパン

2012年(平成24年)にテイラーネルソンソフレス・インフォプラン(通称:TNSインフォプラン)が社名変更し、旧ジャパン・カンター・リサーチを業務統合して誕生した市場調査会社。本部をイギリスに置き、オフィス所在地は約100ヵ国、13の企業(グループ)からなるカンター・グループの一員で、幅広い企業をサポートするグローバルなリサーチ会社です。

取り組む課題によっては、グループ全体が協力して対応するため、その総合力に大きな期待が寄せられています。業種を問わず、様々なクライアントとの取引があるが、大手外資系企業が約6割を占めるのが特徴。また、医薬品・医療機器領域のスペシャリストとして活躍するKANTAR HEALTH JAPANを擁しており、ヘルスケア部門を得意としています。

クロス・マーケティング

クロス・マーケティング

2003年(平成15年)、インターネットを用いたリサーチ事業を目的として設立されました。調査会社としては後発ながら、低コストが魅力のネット調査の分野に的を絞り、自社会員の140万人に加えて他社との提携で1,000万人という業界最大規模の調査対象者を用意するなど、豊富なサンプル数を強みにして、業績を伸ばしています。2011年(平成23年)にはリサーチ領域を超え、ITソリューション事業を行なう子会社を設立。2012年(平成24年)からは上海で事業展開、2013年(平成25年)はインド企業と資本提携をすると共に、シンガポールにも拠点を開設するなど、成長著しいアジア市場を中心に事業を展開。グローバル展開を戦略の柱に、アジアNo.1マーケティングカンパニーというビジョンの実現に向けて事業を行なっています。

イプソス・イン・ジャパン

イプソス・イン・ジャパン

世界第3位の規模を誇るグローバル市場調査会社、イプソスの日本支社。パリに本社を構え、世界85ヵ国に支社を持つグローバルネットワークと、1975年(昭和50年)創業以来、38年以上に渡って守り続けている、市場調査のプロフェッショナルによる経営が特徴です。世界各国で開発された最先端の調査手法をグループ内で共有し、信頼度の高いオリジナルの調査手法をニーズに合わせて提供する高品質なリサーチ技術と、周辺国を含め100ヵ国以上でのマーケティング調査が可能という点が強み。マーケティング調査、広告調査、ロイヤリティ調査 (顧客管理・満足度調査)、メディアコンテンツ・テクノロジー調査、公共意識調査 (世論調査)という5つの分野に特化してサービスを提供しています。

日本リサーチセンター

トヨタ自動車、味の素、ライオンなど日本を代表する一流企業19社の出資によって設立された総合調査研究機関。1960年(昭和35年)に設立され、その歩みは日本におけるリサーチ手法の開発とその実用化、市場戦略の開発の歴史とも言えます。世界各国に調査拠点を置く「ギャラップ・インターナショナル」の日本で唯一のメンバーとしてグローバルなネットワークに参加し、海外調査における経験も豊富。マーケティングリサーチのプロフェッショナル集団として、ISO9001はもとよりプライバシーマークもいち早く取得し、高品質な情報の提供を目指しています。企業のマーケティング活動支援に限らず、世論調査や大学や研究機関からの依頼による社会調査などにも多くの実績を築いているのも特徴です。

日本マーケティング・リサーチ協会

日本のマーケティングリサーチ専門会社が集まり、マーケティングリサーチの健全な発展と普及、倫理の確立を目指し、1975年(昭和50年)に設立されたマーケティングリサーチ業の団体(一般社団法人。公益法人制度改革に伴い、2011年(平成23年)より一般社団法人となる)。

2013年(平成25年)5月現在の会員数は、正会員135社 賛助法人81社、賛助個人133人。

主な事業内容は、下記の通りです。

  1. マーケティングリサーチ倫理の確立及びマーケティングリサーチ綱領の普及、啓発
  2. マーケティングリサーチに関する人材の育成
  3. マーケティングリサーチに関する調査及び研究
  4. マーケティングリサーチに関する技術の向上及び普及
  5. マーケティングリサーチに関する苦情の処理
  6. マーケティングリサーチに関する内外関係機関等との交流及び協力

お役立ち

これからのマーケティングリサーチ

これからのマーケティングリサーチ

マーケティングリサーチの手法は、年々変化しています。最近の動向と、新たな分野からのアプローチ方法を紹介しながら、これからのマーケティングリサーチを探っていきます。

最近のマーケティングリサーチ動向

最近のマーケティングリサーチ動向

最近、マーケティングリサーチで見直されているのは、対象者の意識に基づくことからの脱却です。対象者はすべての行動を記憶しているわけではありませんし、勘違いもあります。あいまいさを含む対象者の自発的行為に頼らず、無自覚な状態の消費者を理解しようとする試みが注目されています。

2000年(平成12年)以降、アメリカでもアンケート調査を中心とした定量調査より、定性調査が重視されるようになってきました。なかでも、人気が集まるようになったのがエスノグラフィ調査です。「エスノグラフィ調査」とは、生活者のありのままの行動を日常生活に入り込んで理解し、深い洞察を得ることを目的とした調査方法です。商品の改善点や優位点の抽出、顕在化していないニーズの発見などに役立つとされています。 また、調査結果を量的な大小で判断しない傾向も出てきています。これまでの調査では、どれだけ多くの人が支持したかが大切でした。その方が成功の確率が高まるからです。しかし、近年は好みが多様化し、量的な多さはさほど重要視されていません。それよりも、少数でも強力に支持する人たちがいれば、市場は成り立つので、それで市場を考えるべきだと言えます。今の時代、大きな市場ではなく、小さくてもいいから確実に取り込める市場を考えるべきなのです。

今後のマーケティングリサーチでは、消費者のひとり一人に向き合った調査が望まれていますし、無自覚な意識やニーズをくみ上げるために、行動をつぶさに観察する手法も重要となっています。消費者の行動の背景にある意識や思いを観察する調査が必要です。消費者の潜在的な行動から全体的に理解する試みとして、脳科学や行動観察分野からの調査が注目されています。

脳科学調査

脳科学調査

脳科学調査は、調査対象者の自覚を前提とせず、脳の中で起きている事実を科学的に分析することで対象者の反応を明らかにしていきます。

脳の働きを調べるには、頭の中に流れる血液量の変化を計測したり、脳内温度の上昇加減を調べたり、脳内に発生する電気の量や周波数をセンサーで計測したりと様々な方法があります。楽しいときや悲しいとき、人間の脳は部位ごとで反応が異なるため、このような計測方法を使って、人間の脳がどのように反応しているかを調べます。ブランド名を隠した場合と明らかにした場合では、同じドリンクを飲んだときでも反応が異なるなど、興味深い実験結果も出ていますが、どの部位がどの要素に対して、なぜ反応したのかなど、まだ不明な点も多く、マーケティングリサーチに利用するには、今後もさらなる研究が必要と思われます。

行動観察調査

行動観察調査は消費者の行動をつぶさに観察することで潜在的なニーズを見出したり、仮説探索や新商品開発のヒントを得たりするのに適しています。この調査は、従来の調査を補うものになりますが、じっくりと時間をかけて調査しなければなりませんし、行動を読み取る感性も必要で、難度が高い調査です。

また、この調査の一種である同行観察調査も、画期的な調査方法です。調査対象者に同行して、対象者の行動をすべて観察。疑問を感じたときには対象者に質問しながら調査を進めていきます。消費者は無意識で行動していることも多く、調査会場やアンケートで質問されても、答えられないこともあります。しかし、実際に使用している場面で聞かれると自分でも気づかなかった行動に気づいたり、意識していなかった行動の理由を発見したりすることがあります。

今後への視点

以前の消費者は、自分の生活に何が足りないかを自覚していました。しかし、豊かになった今では、何が必要なのか、自分の欲しいものが分かっていません。そのため、従来と同様のマーケティングリサーチを行なっても、答えが見つからないという声が出ています。

また、商品の機能的な価値にはほとんど差がなく、異なるのは感性的な価値や心理的価値だとも言われています。後者については人それぞれの感じ方によるので、アンケートとして答えづらく、マーケティングリサーチは難しくなったとも言われています。

その他、注目を集めているのが、経済行動論からのアプローチです。従来の経済学の不足を補う行動経済学や経済心理学をマーケティングリサーチに取り込み、法則性を見出していこうという試みです。今後のマーケティングリサーチは、従来の専門家だけでなく、経済学者や民俗学者など、様々な領域の専門家と共に進めていくことが必要だとの見方が強まっています。

ページトップへ